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異説か真実か! ヤマトタケル伝説が長崎半島の地名にあった。NO.5

新発見 白鳥王子ヤマトタケル伝説。

小碓尊(オウスノミコト)。
またの名を、日本武尊(ヤマトタケル)という。初代天皇の神武から数えて12代目景行天皇の話である。
九州地方で熊襲という一族がまだ天皇に従っていない。これを平定してくるようにと一人の王子が使わされた。この王子が、小碓命である。
この物語を簡単に説明しよう。父、景行天皇は、小碓命を九州に住む熊襲 征伐に出す。小碓命は、伊勢神宮の倭姫命より、衣装と剣をもらって単独で九州まで出かけていく。 熊襲の首長の熊襲建(クマソタケル)は宴の準備をしていた。小碓命は、倭姫命からもらった衣装で女装し、宴会に潜り込んで機会を伺い、熊襲兄弟を刺し殺してしまう。熊襲建は死んでいく間際に、小碓命の武勇を称え「ヤマトタケル」の名前を与えて息をひきとる。この時から、日本武尊と称するようになった。その後、出雲の出雲建やっつけ意気揚々と大和に帰ると、父は、東の方を平定してこいという。天叢雲剣と袋を旅の支度として東国へ進んでいる時、豪族にだまされて、野原で四方から火攻めに合う。危機一髪、天叢雲剣で周囲の草をなぎ払い難を逃れる。三浦半島から房総半島へ船で渡る時、海の神の起こす大波で転覆しそうになった。その時、妃の弟橘姫(オトタチバナヒメ)は、自分自身を海になげうつと、波は納まり日本武尊一行は無事に渡り終える。悲しみを抱えながらの討伐は無事に済み、尾張国(愛知県)にたどり着く。そこで宮簀(みやす)の姫と知り合い第二の結婚をする。日本武尊は伊吹山の神を討つため出かけていく。山の神は大きい白い猪の姿となって現れるが、神の使いと間違ってやり過ごす。山の神は怒り、大氷雨を降らせる。弱り果てた日本武尊は、傷つきながらも故郷を思い、さまよい歩く。力尽きて野褒野(のぼの)という所で、国ほめの歌を歌い、息を引き取る。享年30才であった。そして白鳥になり、ふるさとの山とへ飛んでいくというストーリーになっている。不思議な話である。

 長崎にもこの日本武尊を祭った神社がある。長崎の茂木の近くの甑岩(こしきいわ)神社がそうである。この辺りは、神功皇后伝説が残っている。神功皇后が遠見をした後、そこで飯を食べたとある。その時、甑(こしき)という蒸し器で食事の用意をしたので甑岩といわれている。  そして、目の前は大きな千々石湾である。そこに甑岩神社がある。いろいろ調べていくうちに、不思議な事を発見した。それは地名である。長崎と日本武尊のつながりはあまりない。だが、茂木から野母崎にかけて、タケルの話がずっと出てくるのだ。

 まず橘湾だ。日本武尊は、二度目の東方遠征の時、走水の海で大嵐にあう。その時妃の弟橘姫(おとたちばなひめ)は、海に身を投げて嵐をなだめ、日本武尊を助ける。目の前は橘湾だ。地誌によればこの橘の名称は、日露戦争の英雄陸軍中佐「橘周太」に由来している名前で大正8年からこう呼ばれていると記録にあるが新しすぎる由来だ。ここはそのずっと昔から橘湾と呼んでいる。

 次は茂木だ。茂木の名前は熊襲建を討つ時に日本武尊は女装をしたという事から付けられた。古事記にも、タケルが「御衣御裳(みもみそ)を着る」との記述がある。そして茂木の古名は「裳着」と書く。ぴったりと符合する。

 日本武尊はこの後、二度目の妃をもらう。この姫の名前が宮簀(みやす)姫である。これは宮摺(みやずり)の事だ。宮摺と書いて(みやす)とも読む。ここには「かまど神社」があり、裳着(茂木)神社の末社となっている。同じ文化のつながりを持っているのだ。

 山々はどうだろう。宮摺町に熊が峰がある。それは、クマソの象徴でもあり、熊野の変形でもある。

 熊が峰の続きに悪所岳という山がある。タケルは山の神の怒りに触れて満身創痍になる。まさに悪所の山を日本武尊は進んだのだ。 

 また近くに烏帽子岳があった。これは、日本武尊に命令をした父親の景行天皇の事だ。烏帽子とは天皇を暗示しているからだ。最後に野褒野(のぼの)で命を果てる。これは野母(のも)の事である。死んだ後タケルは白鳥になる。なんと長崎半島は鶴(しらとり)の形をしている。(新長崎伝説一)。

 とどめは甑岩(こしきいわ)だ。タケルの話は日本書紀にも形を変えて記述されている。だが、この地名のネーミングは古事記から付けたものだと、はっきりと示している。甑(こしき)とは古事記の事を暗示している。良く出来すぎた話だ。だが、これだけの一致はこじつけではない。まして作り話でもない。間違いなく事実なのだ。はるか古代、長崎に日本武尊と呼ばれた者達の悲しい話があった。そしてその鎮魂を願っての事だったのだ。


文・イラスト 竹村倉二
参考、引用文 日本史探訪-角川書店 わが町の歴史散歩(1) 熊 弘人 新波書房 日本の歴史-毎日新聞社 長崎県の山歩き- 林 正康- 葦書房 長崎辞典-長崎文献社

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